インタビュー

鈴木けいすけが語る「日本の国のかたち」

国、日本というものについてのお考えを聞かせてください

もちろんこれらの中では、「長期的な国益の実現」が最終的なゴールのうち最も優先順位が高いものです。しかし日本は世界に単独で存在しているわけでも圧倒的な力を保持しているわけでもありません。したがって長期的な国益を最大化するためには他のプレーヤーである諸外国との間に利害調整が必要です。このようなことを総合的に考えると、国際政治への日本の関わり方、外交の在り方は以下のポイントに分類できるのではないでしょうか。

具体的には日本の特徴とはどんなところにあるのでしょうか?

日本人・日本文明の特徴とは何かとは非常に難しい質問です。でも一つここで社会の活力という点で言えば、人々の旺盛な好奇心や向学心、そして戦国時代や明治・戦後に象徴される真に自由な競争社会を自主的に形成してきたのが日本人です。その結果、アジア地域でタイを除けば唯一西欧の植民地にならなかった。そして歴史的に長い間中国が圧倒的な覇権の座にあったアジア地域においてそれに屈することなく、先進地域のあり続けたという歴史を我々は持っているのです。これが日本の一つの側面であります。
また同時に島国という逃げ場がない条件のせいでしょうか、共存や協調というものに大変優れた歴史があります。これは環境にやさしい生活モデルという点でもそうですし、凄惨な革命や大虐殺といった敵対勢力を抹殺する発想が歴史上ほぼ存在してこなかったことにも表れているのではないかと私は思います。

島国とはいえ近年はグローバル化の波から逃れられません

日本の特徴として外来のものとの付き合いが非常にうまいことがあるのではないかと私は思います。好奇心が強いからすぐに飛びつく、拒絶ということをしない。実際、戦国時代にはヨーロッパからやってきた鉄砲があっという間に世界の最大の生産国になったりしていますし、その時代にカスティリアから来たパンがカステラという名前で日本のお菓子になったりしました。鎖国だった江戸時代はそうではないように見えますが、それだって蘭学なんかが脈々と続いたわけです。
それこそ、古くはキリスト教、最近ではマクドナルドに至るまで、外部のものを寛容に受け入れ、そして「日本化」することで大改善をし、モノによっては海外に逆輸出して世界を席巻する。それも日本の特徴的なモデルです。自動車、チキンナゲット・・・挙げればきりがありません。最近ではフランス料理の世界のシェフだって日本式のフランス料理の手法を取り入れているくらいですし。

しかし時代によって「日本」というものも変わるのではないでしょうか?

私は昔からこう思っているんです。歴史の流れにおいて、いろいろな浮き沈みはあるものの、大きな意味での国柄というものにはそう大きな変化というものは、少なくとも数十年とか100年といったスパンでは見られないのではないかと。その土地に生まれ育つ人々は当然親や周りからの影響を受けて、知らず知らずのうちにその国の持つ大きな意味での国柄、ムードに染まっていくんだと思うんです。その意味でも国というのは無機質な器ではなくて、ソフトのそこに住む人間なのだと思います。

そんな日本、ますます良くしていきたいですね。

今もお話したように、日本というものはこれまでの日本人が作り上げてきたもので、無機質なものではありません。だからこそ、日本の国柄、日本文明とは何なのか、これまで我々の祖先が、先輩がどのような想いでこの日本というものを創り上げてきたのか、歴史は決して断絶などしていないのだから、それらの歴史や伝統をしっかりと受け継ぎ、良いものは更に伸ばし、悪しきものは改めることが必要なのだと思います。そのような謙虚な想いで我々は将来への責任も含め、過去、現在、未来の連続した流れの中で、我々自身というものを見つめ、今の国のかたちを形作っていかなくてはいけないと私は思っています。この国のかたちとはすなわち日本人のかたち、人々の想いそのものなのですから。

私たち一人ひとりの役割も大事なのでしょうね?

私はまだ若いですが、たまにこんなことを考えます。人は誰でもその人生が有限でいつか終わりを迎えることを思えば不安でたまらないのだと。そしてこれは至極当然の感情なのではないかと思うんです。でももしかしたら人は、自分よりも大きなもの、たとえば家族、愛する者、地域・コミュニティー、国家、そのようなものに自らを捧げ貢献することで、自分の一生を超えた大きいものにつながり心の安定を得ることができるのかもしれません。もちろん戦時中のようにこのようなことが強制されるようなことがあっては決してなりませんが、ただ、このような観点からすれば、自らをある程度犠牲にし、自分以外のもののために尽くし貢献すること、そのような絆は限りなく大事なものなのだと思うんです。
そして、このようなひとりひとりの他を想う熱い思いの積み重ねが最終的にはこの国のかたちを形作っていくのではないでしょうか。

最近の日本の風潮についてどう思いますか?

子が親を殺し、親が子を殺す。周囲とのかかわり、先祖とのかかわりの中で自分がいるという感覚が忘れ去られたかのような最近のこの国の風潮は何か歯車が狂ってしまっているとしか言いようがありません。もう一度我々自身、そして日本というものを改めて我々自身の心で見つめなおすべきときが来ているのではないか、そのような感に堪えません。

この国のかたちの今後のためにこの状況で具体的に何に取り組むべきでしょうか?

この国のかたちの根幹は何をおいてもこの国の人の心です。それは心の強さであり、歴史の流れの中で自らが存在しているという先祖とのつながり、子孫・将来世代への責任を感じる謙虚で誠実な心です。そのためにはやはり国の根幹に関する国民の間でのしっかりとした議論というプロセスを経て国のかたちを決める憲法の改正をしっかりと行っていくことが大事です。また、実際に次の世代を育てる教育は現場レベル、制度のレベル等々しっかりと考えていく必要があると思います。今後の日本を考えれば教育は何よりも大事、最重要課題です。

今日はありがとうございました

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